2014/07/23.Wed

Boyhood 86点

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繊細で美しい作品を観ました。
「Boyhood」。

1人の少年と家族の心の小さな動きや小さな出来事を
丁寧に描き、まるで小さな点の繰り返しが点描画の絵画になるように
見終わった後には感慨深さに包まれました。

映画評論サイトRotten Tomatoesでは驚異の99%
評論家が名作としている高評価です。

<ストーリー>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6歳のメイソン(エラ・コルトレーン)は母親(パトリシア・アークウェット)
と姉(ローレライ・リンクラスター)とテキサスの田舎町で3人暮らし。
両親は離婚し、父(イーサン・ホーク)は定職を持たず、時々しか会えない。
現状に煮詰まった母は大学に戻る事に決め、家族の運命が動いていく。
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↓↓ここからは予告編でも見せてる程度のネタバレです。

実はこの映画、同じ俳優で12年間かけて撮っている映画史上稀な映画です。
物語が進んでいくうちに、他の映画だと数年経って別の子役さんに
変わる所がこの映画では同じ子役、全て同じ俳優が12年間演じています。
毎年キャスト、クルーが夏休みに集まって少しずつ
撮影したそうです。

とっても可愛い小さな男の子でこまっしゃくれたお姉ちゃんと
喧嘩したりじゃれ合っていたメイソンが、1年ずつ大きくなって
徐々に少年になり、思春期を迎え、そして・・、と続いていきます。
始め女の子のように可愛かったメイソンがどんどん変わっていく、
ドキュメンタリーではなくフィクションなのですがそれでも
実際1人の男の子の成長過程を目撃する事になります。

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誕生日やハリーポッターの本の発売日のわくわく感、ちょっと危なそうな
友達との関わり、など日常を細やかに見せ、メイソンの事を
まるで親戚か親友の子供を見るように感情移入して見守る気持ちが
起きて来ます。

この映画を撮ったリチャード・リンクレーター監督は実は
このブログを作ろうというきっかけになった"Beforeシリーズ"
の監督です。
「恋人たちの距離(Before Sunrise)」、「ビフォア・サンセット」、
「ビフォア・ミッドナイト」の3部作は以前書いたように
2人の20代の若者が出会ってきらきらの1日を過ごす第1作から始まり、
その9年後人生が波に乗って登り坂の30代、そのまた9年後の
40代前半の中年になった時、と話が展開していきます。

映画はただ1日か2日を切り取って2人がひたすら話す、というもので
時が経つに連れて2人の話す内容も話すトーンも変わっていきます。
それが機微を映し出し、流れていく時間の物悲しさ、暖かさを含めて
人生って・・・、と考えさせられます。

私はこの監督に”点描監督”と名付けたいです。
小さな点(出来事)が結局人生を描いていく。

また子供って思っているより冷静に大人を観察している事を
思い出したり、それでも危うい存在の子供を大人の一言が
重要な影響を与えたり。(一見さえない高校の先生の言葉がいいです)

2時間45分と長い映画なのですが、飽きさせず、それでも
静かなトーンで見せていきます。

↓↓ここからは本当のネタバレです。
(よかったら映画を観たらまた戻って来て下さい。一旦さようなら〜。
既に見た、若しくは見ないと思うかたは次へどうぞ。)

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大人の方にも色々有って、母親は努力して心理学の教授にまで
なったのに、子供が巣立って
「こんな事の為に生きてきたの?もっと人生良いものを想像していた」と
泣くシーンも有ります。
頑張って成功してそこで終わり、じゃないんですね。

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12年の間に大人も綺麗だった両親がお腹の肉はたっぷりしてくるし、
しわは刻まれるしこれが全て本物の俳優達自身の変化なので生々しく
時の流れを見せます。

その一方で母親が英語もろくに話せない移民の建設業者の若者に
「あなた頭がいいんだから学校で勉強しなさい」と
言ったのが数年後立派な姿を見せる、等の好エピソードも有り、
人生ってクリシェかもしれませんが、様々な出会いと別れと
嬉しい事淋しい事の点描画、またはタペストリーだと感じました。

若者同士の少々哲学的なやり取り。
メイソンが知り合ったばかりの女の子がこう言います。

「よく"Seize the moment."(「その一瞬をつかめ」って
言うじゃない?でも本当はその反対で"The moment seizes us."
(瞬間瞬間が私達をつかんでいるん)じゃないかしら?」
「そうだね、常に瞬間瞬間が続いている・・、
いつも「今」って事だよね、きっと。」
( “Yeah, I know, it’s constant, the moments,
it’s just — it’s like it’s always right now, you know?”)

これが点描が大きな絵になっていく事なのかな?

そう考えると単調だと思っている毎日も、これが
人生を織りなしているのね、と小さな出来事に対しても
見方が少し変わるかもしれません。

日本でも早く公開されますように。


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